第10回JASICアジア専門家会議

 

JASIC事務局

2007年9月27-28日(木-金)
場所

27日 Long Champ Hall, The Taj Mahal Hotel

28日 Napoleon Hall II, Hotel Le Meridien

主催

インドMinistry of Shipping, Road Transport & Highways

出席者

約70名

 

インド運輸省(Ministry of Shipping, Road Transport & Highways)、インド自動車試験機構(NATRIP)、インド自工会(SIAM)、インド部工会(ACMA)、JASIC、WP29事務局、JAMA、JAPIA、交通研審査部 など

 

1. 挨拶、及びプレゼン

MoSRT&H Mr.Dashから Rulemaking in India
インドの国内法整備体制の説明。MoSRT&H傘下に関係組織との委員会を設置し、自動車関連法規の検討を行っている。ECE規則もベースに法規制定を行っている。
インドの型式認証制度、COP(排ガスのみ)についても説明。

 

JASICから

58協定をベースとしたMRA、JASIC長期事業計画における58協定ベースの車両相互認証の考え方、58協定締約国の権利義務について説明。

 

UN/ECE WP29事務局Mr.Ramosから

冒頭でインドが58協定加盟の検討をすすめていることについて、国内で十分な議論をつくしてほしいとコメント。WP29の歴史、58協定についてインドがすでに加入している98協定と比較しながら説明し、58協定加入の重要性を強調した。
また、締約国が指定するテクニカルサービスの要件については今年3月のWP29でガイドライン文書を合意したことを紹介。
98協定で定めるGtrは統一基準ではあるが、締約国の導入方法、認証要件などがない。また、複数のオプション、モジュールも存在しうることから、ひとつのgtrを採用する98協定締約国同士で規則が同一になる保証がない。一方、58協定で定めるECE規則は締約国が国内導入する際に勝手にその内容を変更することは許されないため、その規則を採用している締約国間では完全な基準調和となり、MRAが成立する。
WP29事務局では締約国が権利義務を守っているかどうかのチェックは行わない。なぜなら58協定は相互信頼の精神(mutual trust)をベースに成り立っているからである。

 

JAMAから

インドが58協定に加入することをサポートする。協定締約国としてECE規則を(modifyせずに)国内導入していくことを期待する。ECE規則の採用については段階的な採用を提案したい。排ガス規制についてはEuro2をまず採用したあと、Euro3をスキップしてEuro4を入れることをすすめたい。

交通研審査部から
交通研の紹介のあと、日本唯一のテクニカルサービスとして審査部組織の説明、認証試験の手順、認証試験設備の詳細について説明。

NATRIP Mr.Sharmaから India’s Accession to 1958 Agreement: Key Issues and Challenges
58協定に加入する以上はECE規則を採用しなければそのメリットを十分に得られないと考えており、現状の国内法規の評価作業が必要。
3分の2多数決制を導入しており、ECが27票をもっている58協定の現状では非欧州勢は不利な立場にあるととらえている。

 

ACMA-SIAMから Perspective on 1958 Agreement

業界として、インドの58協定加入を支持する。そのためには、ECEをベースとした認証システムのための国内体制の整備など検討すべき課題が多くある。協定加入にむけて、ロードマップを作成して作業をすすめていきたい。

 

2.パネルディスカッション

パネリスト:
Mr. Sharma (NATRIP), Mr. Bhanot, Mr.Ramos (UN/ECE/WP29), Mr. Dash (MoSRT&H), Mr. Marathe (ARAI), JASIC秋葉、Mr.Sehgal (MoSRT&H)

 

主な質疑応答内容

ECE規則ベースのMRAは、その規則を採用している締約国同士のみで行われるという点が誤解されがちで、繰り返し説明がなされた。

 

58協定が自己認証制度も型式認証のひとつの手段として認めていること、実際に韓国が58協定に加入していながら自己認証制度を導入しているためECE規則を全く採用していないことについて関心が高く、多くの質問がよせられた。

98協定が全会一致制であるのに対し、58協定が多数決制であることについて、欧州勢が多数の票をもつ現状は非欧州勢に不利ではという意見があった。WP29事務局より、これまでのところ深刻な問題はなく、おおむねうまく機能していると説明。WMTCgtrの例でも、当時まだ98協定締約国ではなかったインドの意見を尊重してAC3での投票を延期し、議論を続けた。(58,98かかわらず)WP29の場ではこのようにオブザーバーをふくめた意見も十分尊重した運営を行っているので現状は問題ないと考えていると回答。

 

最後にMoSRT&H Mr.Dashより
今回の二日間の会議で58協定に向けた色々な問題について議論することが出来た、この内容を踏まえて国内の委員会で近々今後の方向性を議論してもらいその答申を待って政府としての方針を決めるとの挨拶があり、58年協定加盟に向けてさらに進展を匂わせる発言があり、閉会。

 

所感:

インドの政府・業界とも実務にかかわっているレベルでは58協定そのものについてかなり深く勉強し、協定加入を真剣に考えているという印象を受けた。複数の機関が自動車法規・認証制度に関わっているせいか、将来ECEを国内導入する際の具体的な手法、認証機関・テクニカルサービスの役割分担など、国内で交通整理が必要な点を課題として認識し、協定加入をめざした検討を進めている。
その一方で、58協定締約国としてECEを採用して相互認証を行うという基本的なことをまだ理解しきれていない出席者もみられた。

 

最後に、今回の専門家会議にご協力くださったインドSIAM、UN/ECE WP29事務局ラモス氏、JAMA、JAPIA、交通研審査部に心より感謝したい。

以上

CONCLAVE ON 1958 AGREEMENT (UNECE WP.29)

27th-28th September 2007
New Delhi