FAQ(ひんぱんにいただく質問)

1.JASICについて
Q1. JASICの設立時期と、その事業目的及び活動内容は?
Q2. JASIC発行の刊行物の種類と、その入手方法は?
Q3. どこの国の法規を提供できるのか?

2.国際基準の調和について
Q1. 自動車の基準はどうして各国や地域で独自に作られてきたのですか?
Q2. 基準調和のメリットはなんですか?また関心が高まってきたのはなぜですか?
Q3. 基準調和を進めるにあたってどのような課題がありますか?

3.WP29について
Q1. WP29とは?
Q2. WP29の組織とは?

4.1958年協定について

 
<1958年協定に関して>
Q1. 1958年協定とは?
Q2. 1958年協定に加入した国の権利と義務は?
Q3. 1958年協定締約国の数は?
Q4. 1958年協定に加盟するために必要な手続きを教えてください。
1958年協定に加盟するには、誰(どの機関)が、いつ、何を国連に提出すればよいのですか?

Q5. 全ての締約国に新規則制定に対する投票権はあるのか?
Q6. UN規則の試験機関はどのように認められるのか。

 
<UN規則の採用に関して>
Q7. 1958年協定に加入した場合、全ての「UN規則」を採用しなければならないのか?
Q8. 1958年協定に加入した後、UN規則を採用しない場合、何か罰則があるか?
Q9. どのようなUN規則を採用したら良いか?
Q10. UN規則の国内法への取込み方法を、日本を例に教えてほしい。
Q11. 1958年協定に加入しないで、UN規則を国内法に取り込むだけで良いのではないか?

 
<1958年協定加入のメリットに関して>
Q12. 1958年協定加入のメリットは?
Q13. 1958年協定加入のデメリットは?
Q14. 1958年協定加入にかかるコストは?
Q15. 1958年協定加入後、運用にかかるコストは?

5.その他
Q1. 1998年協定とは?
Q2. 1998年協定に加盟した国の権利と義務は?
Q3. 1998年協定への加盟国は?
Q4. 世界技術規則「UN GTR」と「UN規則」の関係はどうなるのですか?





1.JASICについて

1.JASICの設立時期と、その事業目的及び活動内容は?
1.自動車基準認証国際化研究センター(JASIC)は、国が行う自動車の基準・認証制度などの国際化推進活動を支援することを目的に、官民の協力により1987年に設立されました。事業概要詳細はこちらへ。

2.JASIC発行の刊行物の種類と、その入手方法は?
2.JASICでは以下の刊行物を発行しております。

@法規フォロー情報 (有償)
国際基準調和の動きに伴いますます重要になると思われるUN規則を含め、EU、米国、豪州の法規を英語と日本語でご覧頂けます。詳細はこちらへ。

A日本の自動車型式認証ハンドブック (有償)
日本の自動車型式認証に関連する法規類のほぼ全てを網羅しています。詳細はこちらへ。

B日本のカントリーレポート
日本の自動車に係る法体系、安全、環境基準、検査制度、整備制度などの情報を解かりやすく紹介した資料です。詳細はこちらへ。

C基準調和パンフレット (無償)
国連の相互承認協定(1958年協定)と、車両等の世界的技術規則協定(1998年協定)について簡単に説明した資料です。詳細はこちらへ。

3.どこの国の法規を提供できるのか?
3.UN規則、EU規則、米国法規(安全、排気)、ADR(豪州)の法規を取り扱っております。詳細はこちらへ。
日本の自動車法規(英文のみ)も取り扱っております。詳細はこちらへ。


2.国際基準の調和について

1. 自動車の基準はどうして各国や地域で独自に作られてきたのですか?
1. 飛行機と船舶は大陸間移動が頻繁に行われる交通機関であり、各国が独自の安全・環境基準を持つとその運行の大きな障害となるため、従来から国際的な基準が制定されていました。しかし、自動車は陸上のみ、また比較的限られた地域で使用されるため、海を越えた各国や地域のことを考慮に入れる必要が従来低く、このため、各国の交通環境や事故・環境問題の発生状況に応じた各国独自の基準作りが行われてきました。

2.基準調和のメリットはなんですか?また関心が高まってきたのはなぜですか?
2.基準の国際調和のメリットは、仕向地別の自動車の設計仕様が統一されることにより、部品の共通化が進み開発生産コストが低減されること、各国の認証手続きが簡素化することが、流通地域の拡大につながり、ユーザーの選択の自由度が拡大すること等があります。さらに、自動車メーカーの国際化が進んだことなどから、国家間での自動車貿易、国際的な事業展開をより促進するために基準調和への関心が高まっています。
最近は、技術の高度化にともない、異なった基準へそれぞれ対応するためには膨大な開発が必要となるため、メーカーでは従来以上に基準調和のニーズが高まっています。また、各国の知見を持ち寄ることで自動車の技術の進展に合わせて迅速かつ効率的な基準策定が可能となります。

3.基準調和を進めるにあたってどのような課題がありますか?
3.環境、安全問題が地球規模で語られる時代になりましたが、風土・文化・技術力など世界各国の状況は千差万別で、基準策定の考え方も国毎に異なります。これらの各国や地域の基準を単純に統合するだけでは、全体としてバランスよく調和がとれているとは言えません。
従って、各国の事情に配慮をしながら構造基準よりは技術的根拠、試験研究成果に基づいた性能基準とするなど国際的に十分議論をつくしてコンセンサスを得ながら合理的で有効な基準を模索する必要があります。


3.WP29について

1.WP29とは?
1.正式名称は「自動車基準調和世界フォーラム」。国連で世界的な基準調和を議論する唯一の場であり、UN規則やUN GTRを作成しています。

2.WP29の組織とは?
2.詳細はこちらへ。


4.1958年協定について

 
<1958年協定に関して>

1.1958年協定とは?
1.正式名称は「車両並びに、車両への取付け又は車両における使用が可能な装置及び部品に係わる統一的な技術上の要件の採用並びに、これらの要件に基づいて行われる認定の相互承認のための条件に関する協定」と言います。
この協定は1958年に締結された国連欧州経済委員会(UN/ECE)の多国間協定です。
自動車の構造及び装置の安全・環境に関する統一基準の制定と相互承認を図ることを目的としています。
「1958年協定」には自動車の構造及び装置に関する規則( 以下「UN規則」)が規定されています。
これらの「UN規則」は最新の社会ニーズや技術革新に合わせて「UN/ECE/WP29」の場で策定や改定が行われています。
1995年に欧州域外、地域経済統合機関、自己認証制度を利用している国の参加を念頭に、多数決議決方式導入等の改正が行われました。
この改正後、日本、南アフリカ、オーストラリアなど欧州地域以外の国も加入しました。

2017年に行われた改正では本協定をより魅力的なものとし、UN規則の制定・承認手続きの質を高め、柔軟性を向上させるために下記の変更が行われました。

(a)UN規則の旧版に基づいて型式認可を発行できる可能性
(b)UN規則とその改定に関する多数決議決方式の基準を3分の2から5分の4に変更
(c)仮想試験規定
(d)新技術に関する認可の免除規定
(e)認可書類の規定
(f)型式認可情報の交換のためのUNデータベース(DETA)の導入(認可マークをUI(固有識別名)に置き換える可能性を含む)
(g)国際的な車両型式認証制度(IWVTA)の導入
(h)適用の即時開始を義務づけられることなく新しいUN規則に賛成票を投じることができる可能性
(i)生産の適合性(COP)に関する規定 
(j)技術機関(テクニカルサービス)に関する基準の追加
(k)セーフガード条項の強化
(l)法規文解釈問題解決に関する規定

参照:ECE/TRANS/WP.29/2017/131

2.1958年協定に加入した国の権利と義務は?
2.1958年協定に加入した場合 、締約国は「UN規則」の制定、改定時の投票権を持つことになります。また、締約国は「UN規則」を装置毎に任意に採用することができます。採用した「UN規則」に対し適合性を確認し認証書を発行する権利があり、他の採用国はそれを受け入れる義務があります。

3.1958年協定締約国の数は?
3.詳細はこちらへ。

4.1958年協定に加盟するために必要な手続きを教えてください。
1958年協定に加盟するには、誰(どの機関)が、いつ、何を国連に提出すればよいのですか?
4.1958年協定は一種の多国間条約であるため、当該国は、条約に署名する権限を与えられた外務大臣(または大統領、首相、大使など)が国連事務局に正式文書を寄託したのち、協定に加盟します。(1958年協定に加盟するための意思決定プロセスおよび国内手続きは、各国の国内法に従わなければなりません。)

5.全ての締約国に新規則制定に対する投票権はあるのか?
5.新規則については1958年協定締約国全てに投票権があります。新規則を採用しない場合は国連事務総長への通知が必要です。
改正規則の場合ではその規則を採用している締約国のみ投票権が与えられます。

6.UN規則の試験機関はどのように認められるのか。
6.1958年協定に従い能力があると判断した場合に、認可当局は、当該試験機関を技術機関(テクニカルサービス)として指定します。
その際、締約国は、当該技術機関を指定した旨国連に通知する必要があります。

 
<UN規則の採用に関して>

7.1958年協定に加入した国は、全ての「UN規則」を国内で適用しなければならないのか?
7.締約国は「UN規則」を任意に適用することができます。
締約国は、自国が装置毎に適用した「UN規則」についてのみ認証の相互承認が義務付けられます。日本は環境・安全の確保を最優先に考慮しつつ「UN規則」の適用を進めています。

8.1958年協定に加入した後、UN規則を採用しない場合、何か罰則があるか?
8.何ら罰則はありません。UN規則を採用する事は義務ではないです。UN規則採用は締約国が任意に判断して決めることができます。

9.どのようなUN規則を採用したら良いか?
9. [JASICの見解]
どのUN規則を採用するかは各国において判断されるものであるが、どのUN規則を優先的に導入するかを自国の交通環境や交通事故の実態、また自動車政策等の各国の事情を踏まえ検討し、段階的に採用していくという方法もあります。

10.UN規則の国内法への取込み方法を、日本を例に教えてほしい。
10.UN規則の内容を日本の国内法規に書き下す場合と日本の法規の中でUN規則を引用し、UN規則に適合していれば日本の法規に適合しているものとして取り扱う場合の2種類があります。日本政府としては、技術要件についてはUN規則の直接引用を進めています。

11.1958年協定の締約国にならずにUN規則を使用することは可能ですか?
11. 【WP29における見解】
どの国であれ、たとえ1958年協定の締約国でなくとも、その内容を国内法に反映させることによって、または当該UN規則に基づいて付与された認可を単純に受け入れることによって、自由にUN規則を「使用」することができます。
詳細につきましては、下記をご参照ください。
参照:https://unece.org/transport/vehicle-regulations/revision-3-reference-documents

 
<1958年協定加入のメリットに関して>

12.1958年協定に加盟することにどのような利点がありますか?
12. 【WP29における見解】
1958年協定に加盟する国にとっては、技術的進歩への継続的な適応を含む規則策定が効率化され、それにより高レベルの安全・環境保全が確保されるというメリットがあります。
各国の業界にとっては、新車の設計、製造および認証に関する仕様の統一と、それによるコスト低減というメリットがあり、広大な国際市場にアクセスしやすくなります。
国内の消費者にとっては、効率的で安全かつ環境に優しい車両を幅広く選べるという利点があります。
参照:https://unece.org/transport/vehicle-regulations/revision-3-reference-documents

13.1958年協定加入のデメリットは?
13. [JASICの見解]
1958年協定加入によるデメリットはありません。締約国は1958年協定上の義務を負うことになりますが、どのUN規則を採用するかについては自国への影響を踏まえ選択することが可能です。

14.1958年協定加入にかかるコストは?
14. [JASICの見解]
1958年協定加入のコストはかかりません。

15.1958年協定加入後、運用にかかるコストは?
15. [JASICの見解]
国内の環境整備状況によりますが、すでに認証試験制度があるかないかによってコストは大きく変化します。
例えば、すでに認証試験制度があれば認可に係る行政手続き、試験施設整備等に必要な追加コストはほぼかからないと予想されます。


5.1998年協定について

1.1998年協定とは?
1.正式名称は「車両並びに車両への取付け又は車両における使用が可能な装置及び部品に係る世界技術規則の作成に関する協定」。1998年協定は、自動車の安全、環境、燃費及び盗難防止にかかわる世界技術規則「UN GTR」の制定と統一基準「UN規則」 との両立を目的としています。つまり、自動車の安全分野についてメーカーが製品の基準適合性を保証し、販売後に政府が市場の自動車の適合性を確認する「自己認証制度」を採用している国を考慮した協定となっています。

2.1998年協定に加盟した国の権利と義務は?
2.1998年協定に加入した場合、締約国は世界技術規則(UNGTR)の制定、改定時の投票権を持つことができます。また、締約国は制定された世界技術規則の国内での適用に向けた手続きを開始する義務が発生します。

3.1998年協定への加盟国は?
3.詳細はこちらへ。

4.世界技術規則「UN GTR」と「UN規則」の関係はどうなるのですか?
4.制定された「UNGTR」の内容は、自動車基準を国際的に調和するため「UN規則」に反映されることが期待されています。また、「UN規則」が既にある場合、逆にそれをもとに「UNGTR」の検討を進めるなど、「UN規則」と「UNGTR」とはお互いに調和するよう努力がはらわれています。それにより、「1958年協定」締約国と「1998年協定」締約国で技術基準について調和を図ることが可能となります。